ご挨拶

第14回日本病理学会カンファレンス開催にあたって

第14回日本病理学会カンファレンスを「酸化ストレス・レドックス研究の曼陀羅的展開」をテーマとして平成29年7月28日(金)〜29日(土)に、今年は愛知県犬山市の名鉄犬山ホテルにおいて、装いも新たに開催させていただくこととなりました。

今回のテーマである「酸化ストレス・レドックス」は70年代に研究の端緒がありますが、90年代にはレドックスシグナルとして盛り上がりを見せ始め、その後、実に様々な分野に波及していった研究分野です。私たちは酸素なしに5分と生きることができませんが、私たちのからだの中で酸素は電子の運搬体として使用されています。そして、究極的には酸化還元(レドックス)反応、特に鉄・硫黄・酸素原子に関するもの、が重要であることがわかってきました。酸化ストレス・レドックスの問題は、すべての病理学的事象に関係しているといっても過言ではありません。こうした「孫悟空とお釈迦様の手のひら」的な意味から、仏教用語の曼陀羅を使わせていただいた次第です。

本カンファレンスではこの方面の第一線で活躍中の若手から中堅の先生方に講演をお願いしました。これらの先生方とのディスカッションを是非楽しんでいただきたいと思います。お気づきのように犬山の地は慢性肝炎の組織分類が決められた所として病理診断医にも縁深いため、話題として慢性肝炎〜肝癌も含めさせていただきました。若手病理医の発表も大いに期待しております。酸化ストレス・レドックスに関係が深くても浅くても結構ですので、是非この機会に自分の仕事を今回のテーマの切り口で熟考してみてください。1題でも多くの演題を持ち寄りその知見を共有することで、実りある会にしたいと思います。

本会で得られる学術成果は、病理学のみならず、基礎医学からベッドサイドへと横断的に医療の進化・深化に貢献すると確信しております。この会に参加することにより、若手病理医のリサーチマインドが鼓舞され、日本から世界へすばらしい研究成果が多数発信されることを祈念します。

世話人豊國 伸哉名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学教授